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そもそも「不動産投資に適した年収」は存在するのか?

  • 2026.09.15
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不動産投資に適した年収はあるのかと聞かれることは良くあります

結論から言うと、

「年収○○万円なら不動産投資に最適」というラインはないです。

例えば、年収1,000万円の会社員でも、住宅ローンや自動車ローンなどの借入が多く、預貯金がほとんどなければ、金融機関から見た評価が高いとは限りません。

一方で、年収600万円でも、

  • 借入が少ない
  • 自己資金がある
  • 勤続年数が長い
  • 安定した収入がある
  • 購入する収益不動産の収支が良い

という条件が揃っていれば、融資を検討してもらいやすくなるケースがあります。

つまり、「年収」=「融資を受けられる金額」ではないということなんです。

 

当然年収が高いほど有利なのは間違いではない

銀行からすると、給与収入は安定した返済原資の一つになるし、不動産管理会社目線でも、突発的な修繕に耐えられる余力は欲しいところ。

例えば、本業から年間800万円の収入がある人と、年間400万円の収入がある人では、その他の条件が同じなら、一般的には前者の方が返済余力を説明しやすくなるのは当然ですよね。特に不動産投資を始めたばかりの段階では、

「不動産からの収入だけで返済する」のではなく、「本業収入も含めて返済能力があるか」

という点で見られます。

ただし、年収が高ければ高いほど良い、という単純な話でもありません。

例えば年収1,500万円あっても、すでに多額の借入を抱えていたり、生活費が非常に高かったりすれば、実際の余力は小さくなるし、家族がいれば状況も変わります。

銀行が見ているのは、給与明細の一番上に書いてある数字だけではなく、「この人は、今後もきちんと返済を続けられるのか?」を見てます。

 

銀行員の立場から見る「年収」の意味

私は不動産業界に入る前、10年以上銀行員として融資業務に携わっていましたが、その経験から言うと、銀行が不動産投資の融資を判断するときには、

「年収がいくらあるか」よりも、「その年収からどれだけ返済余力が残るのか」

という考え方がめちゃくちゃ重要です。

例えば、「年収1,000万円あります!」と言われても、「住宅ローンはいくらありますか?」

「他の不動産投資の借入はいくらですか?」「毎月の返済額はいくらですか?」

と聞いていくと、実は余裕がまったくないというケースもあります。

逆に、「年収700万円です。ただし借入は住宅ローンだけで、自己資金もあり、今回の物件単体でも十分な収益が見込めます」という人の方が、事業計画として説明しやすい場合もあります。

だから私は、投資家の方には、「年収を上げれば融資が通る」と考えるのではなく、「自分の財務状況を銀行と同じ目線で把握する」ことをすすめています。

 

年収500万円・700万円・1,000万円で何が変わる?

では、実際に年収によって何が変わるのでしょうか。あくまで一般論ですが、考え方として整理してみようかと。

年収500万円前後

不動産投資を始めること自体が不可能というわけではない。けど、金融機関によっては融資対象や融資額、物件の種類などに一定の制約が出る可能性があります。

この年収帯では、特に物件選びと自己資金のバランスが重要になってきます。

無理に大きな物件を買うのではなく、まずは金融機関が評価しやすい収益不動産を選ぶことが重要です。

年収700万円前後

本業の収入が一定程度安定していれば、不動産投資を検討する際の選択肢が広がってくるケースがあります。もちろん金融機関によって基準は違いますが、「不動産投資を始めるための一つの現実的なゾーン」として考えることはできます。

ただし、この年収だから安心というわけではありません。

年収1,000万円以上

融資の面では、一般的に評価されやすい層と言えます。

また、税務面でも所得税率などを意識する場面が増えてくるため、不動産投資との相性を考える人も増えてきます。ただし、ここでも注意が必要です。

「年収1,000万円だから収益不動産を買った方がいい」わけではありません。

むしろ、年収が高い人ほど、融資可能額が大きくなり、投資規模も大きくなりやすい。

だからこそ、間違った物件を購入したときのダメージも大きくなります。

現実の話として、私の周りには大手保険会社に勤務していて、MDRTの称号も毎年獲得しているような方が、地方の不動産投資物件を勧められるがまま購入してしまい、事故が起きた部屋の修理もできず、処分もできず、防水が剥げてきて外壁の状態もかなり悪化してしまい、にっちもさっちもいかない状態になっている方もいます。

年収が高いから自分は大丈夫なんてことはないんです。

 

「税金が高いから不動産投資」は危険

年収が上がってくると、税金について考える方が増えます。

特に給与所得が高い方から、「不動産投資をすると節税になりますよね?」という質問を受けることがあります。

確かに、不動産所得の計算では減価償却費などの影響によって、税務上の所得が小さくなるケースがあります。

また、一定の条件を満たせば、不動産所得の赤字と給与所得などを損益通算できる場合もあります。ただ、ここは前回のコラムでもお話しした通り、「節税できる=儲かる」ではありません。

税金が10万円減ったとしても、キャッシュフローが年間50万円マイナスなら、単純に考えて40万円の持ち出しです。

ですから、

「税金が高いから収益不動産を買う」ではなく、

「収益不動産として成立している。そのうえで税務上のメリットもある」という順番で考えてほしいと思っています。これはめちゃくちゃ大事です。

 

実は「年収」よりも重要なものがある

ここまで年収について話してきましたが、私が不動産投資を検討する方にもっと見てほしいのが、「自分自身のバランスシート」です。

つまり、

  • 預貯金はいくらあるのか
  • 株式などの金融資産はいくらあるのか
  • 住宅ローンはいくら残っているのか
  • その他の借入はいくらあるのか
  • 毎月いくら貯蓄できるのか
  • 不動産を購入した後にどれくらい現金を残せるのか

ということです。

不動産投資は、物件を買った瞬間に終わりではありません。

空室が出ることもあります。孤独死や病死などの事故が起きることもあります。修繕が必要になることもあります。金利も想像以上に上がってきましたね。

だからこそ、「購入できるか」ではなく「購入した後も耐えられるか」という視点がめちゃくちゃ重要なんです。不動産投資は、近い未来の儲けではなく遠い将来のために行うものです。

 

銀行が評価するのは「年収+物件+投資家」

では、銀行側から見た理想的な不動産投資とは何でしょうか。私は、

①投資家本人の信用力

②収益不動産そのものの収益性

③物件の担保・資産価値

④将来の返済能力

この4つを総合的に説明できる投資だと考えています。

例えば年収800万円の人が、表面利回り12%の物件を持ってきたとしても、

「なぜこの物件は12%なのか?」

「家賃は今後も維持できますか?」

「修繕費はいくら見ていますか?」

「空室が増えたらどうなりますか?」

「将来売却するとき、誰が買いますか?」

こうした質問に答えられなければ、融資をする側としては不安になります。

一方で、利回りがそれほど高くなくても、立地、賃貸需要、修繕履歴、収支計画、出口戦略までしっかり説明できる物件なら、事業として評価しやすくなります。

 

不動産投資を始めるなら「年収のピーク」ではなく「余力」を見る

もう一つ考えてほしいのが、

「今の年収が一生続くのか?」ということです。要は、不動産投資は投資と言ってはいるものの、事業なので、ちゃんと将来のライフプラン計画があってこその投資です。

40代で年収1,000万円だったとしても、転職や独立、定年などによって収入環境が変わる可能性があります。

不動産投資は長期間の借入を組むケースが多いので、「今、借りられる金額」ではなく「将来も返せる金額」を考える必要があります。銀行も当然、そこを見ています。

だからこそ、不動産投資を始めるタイミングとしては、年収が一番高いときではなく、本業収入・資産・借入・家計に十分な余力があるときの方が重要だと私は思っています。

 

まとめ 不動産投資に「ベストな年収」はない

「不動産投資を始めるなら年収はいくらがベストなのか?」

この質問に対する私の答えは、「年収だけで判断しないこと」です。

年収500万円でも投資できる人はいます。

年収700万円でも慎重に考えるべき人もいます。

年収1,000万円を超えていても、投資を急ぐ必要がない人もいます。

大切なのは、「自分の年収なら、いくら借りられるか?」ではなく、「自分なら、どこまでの借入なら安全にコントロールできるか?」という考え方です。

不動産投資は、税金だけで考えるものでもありません。

融資だけで考えるものでもありません。

そして、利回りだけで考えるものでもありません。

「投資家」「収益不動産」「金融機関」の3つの視点を持って判断する。

これが、長く不動産投資を続けていくために、めちゃくちゃ重要な考え方だと思っています。

これから不動産投資を始めようと考えている方は、まず「自分はいくら借りられるのか?」ではなく、「自分はいくらまでなら無理なく投資できるのか?」から考えてみてはいかがでしょうか。

それが、金融機関から見ても、そして投資家自身にとっても、健全な収益不動産投資のスタートになるはずです。

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