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不動産所得と給与所得は損益通算できる?
- 2026.09.09
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不動産投資の「節税」の仕組みと、投資を始める上で適正な年収はあるのか
「不動産投資は節税になる」おなじみワンルーム投資の必殺フレーズですね。
こんな話を聞いたことがある方は多くいらっしゃるかと。
特に会社員の方からすると、
「毎月こんなに税金を払っているなら、不動産投資を使って税負担を減らせないの?」
と考えるのは、至極当然の考えです。
実際のところ、不動産所得が赤字になった場合、一定の条件を満たせば、給与所得などの他の所得と損益通算できる仕組みがあります。国税庁も、不動産所得の損失は原則として他の所得の黒字から差し引くことができるとしています。
ただし、ここで絶対に勘違いしてほしくないのが、「不動産投資で赤字を出せば、税金が安くなる」
という事では無いんです。ここ要注意です。いまワンルーム買おうと考えている方、注意してくださいね。
今回は、不動産投資を始める会社員の方にはぜひ知っておいてほしい「不動産所得と給与所得の損益通算」について、なるべく分かりやすく解説していきます。
そして最後に、
「年収がいくらくらいの人が不動産投資に向いているのか?」
というところにも少し触れていくので、お楽しみに。
そもそも「損益通算」とは?
まず、「損益通算」という言葉から説明すうと、
簡単に言えば、
ある所得で出た赤字を、一定のルールのもとで別の所得の黒字と相殺できちゃう制度で、
例えば、会社員として給与所得があり、不動産所得が赤字になったとしましょう。
分かりやすくするために、
- 給与所得:500万円
- 不動産所得:▲100万円
だったとすると、単純化すれば、
500万円-100万円=400万円
というイメージになります。
もちろん、実際の税額計算では給与収入そのものではなく、給与所得控除などを反映した「給与所得」を使います。
国税庁によると、給与所得は「収入金額-給与所得控除額」で計算されるので、 「給与が100万円減った」ということではなく、税務上の所得計算で不動産所得の赤字を差し引くことができる場合がある。ってな具合です。ここはめちゃくちゃ大事なポイントです。
ではなぜ不動産所得が「赤字」になるのか?
ここで、「でも、家賃収入が毎月入っているのに、どうして不動産所得が赤字になるの?」
と思いますよね、だったら投資しない方が良いじゃんと。
ですが、不動産所得は基本的に、総収入金額-必要経費=不動産所得
という考え方で計算されます。
必要経費には、例えば、
- 固定資産税
- 損害保険料
- 修繕費
- 管理費
- 借入金の利息
- 減価償却費
などがあるんです。ここで、不動産投資を理解するうえで非常に重要なのが、
「税務上の赤字」と「実際のキャッシュフロー」は違うということです。
例えば、減価償却費は、実際にその年に現金を支払っているわけではなく、建物などの取得費用を、一定のルールに従って各年の必要経費として配分していくものです。
そのため、実際には手元にお金が残っているのに、税務上は不動産所得が小さくなる
ということがあります。
これが、不動産投資の「節税」を考える上で非常に重要なポイントなんです。
まぁなので、購入するときは建物の税務上の法定耐用年数を見ておくことも重要です。このあたりはまた今度触れましょう。
「キャッシュフローは黒字なのに税務上は赤字」ということもある
例えば、年間の家賃収入が300万円だったとします。
そこから、
- 管理費
- 固定資産税
- 修繕費
- 保険料
- 借入金利息
などを差し引き、さらに減価償却費を計上すると、税務上の不動産所得が赤字になるケースがあります。
一方で、ローン返済のうち元本部分は、通常、必要経費としてそのまま差し引くものではありません。
ここが、実際のキャッシュフローと税務上の所得の違いです。なので、「毎月お金が残っている=税務上も黒字」ともなりません。
逆に、「税務上赤字=毎月お金が出ていく」とも限らないんですよね。
不動産投資は会社の経営と同じように事業なので、この2つを分けて考える必要があるんです。
不動産所得の赤字なら、全部が給与所得と損益通算できる?
ここもめちゃくちゃ注意してください。
「不動産所得が赤字なら、全部給与所得と相殺できるんでしょ?」
と思われるかもしれませんが、そうじゃないです。
国税庁によると、不動産所得の損失には、損益通算の対象にならないものがあります。
代表的なのが、土地等を取得するために要した借入金の利子に相当する部分です。
つまり、不動産所得が赤字になっているからといって、その赤字額をそのまま全部給与所得から差し引けるとは限りません。
このあたりは、実際に確定申告をするときには超重要です。
また、別荘など趣味・娯楽・保養・鑑賞を主目的とする不動産の貸付けによる損失についても、損益通算の対象外とされています。
ですから、「不動産投資=赤字を作れば節税」という考え方は、かなり危険です。
節税目的だけで不動産投資をするのはおすすめしない
私はここを、めちゃくちゃ強く伝えたいと思っています。
不動産投資を検討している方から、「節税になる物件ありませんか?」と聞かれることがあります。もちろん税務上のメリットを考えることは重要です。でも、節税のためだけに収益不動産を購入するのは、私は絶対におすすめしません。
なぜなら、不動産投資には、
- 空室リスク
- 修繕リスク
- 金利上昇リスク
- 家賃下落リスク
- 災害リスク
- 売却価格の下落リスク
などがあります。
税金が年間50万円安くなったとしても、物件そのものが年間100万円、200万円と赤字を生み続けていたら、本末転倒ですよね。
節税はあくまで、「良い収益不動産を購入した結果として得られるメリットの一つ」
くらいに考えるのが良いです。
そこで、不動産投資をするなら「年収はいくら」がベストなのか?
ここは、今回のテーマから少しだけ踏み込んでみます。
結論から言うと、
「年収○○万円なら不動産投資を始めるべき」という明確な答えはなし!!
ただ、税務面だけを考えれば、一般論として所得税率が高い人ほど、所得を圧縮できた場合の税負担への影響は大きくなりやすいです。
一方で、金融機関から融資を受けて不動産投資をする場合には、
年収だけでなく、勤務先、勤続年数、自己資金、既存借入、金融資産、家族構成、投資実績などさまざまな要素が見られます。
私が10年以上銀行員をしてきた経験から言っても、
「年収が高い=必ず融資が通る」というものでもありません。
逆に、年収だけを見るとそこまで高くなくても、資産背景や勤務状況、既存借入、物件の収益性などを総合的に評価されるケースもあります。
なので、「不動産投資に向いている年収」を考えるときには、税金だけではなく、融資と収支の両面から考えることがめちゃくちゃ大切です。
この「不動産投資を始めるなら年収はいくらがベストなのか?」については、実際の融資審査や税率なども踏まえて、次回コラムで詳しく伝えていきたいと思います。
私が銀行員時代に感じていた「節税」と「融資」の関係
私は不動産業界に入る前、10年以上銀行員として仕事をしていました。
その中で感じていたのは、銀行は「節税できるか」だけを見て融資するわけではない
ということです。
金融機関が見るのは、「この人はきちんと返済できるのか?」「この物件は安定した収益を生み出せるのか?」「万が一、売却することになった場合に、どのくらいの価値があるのか?」といったところです。
つまり、不動産投資では、税金・キャッシュフロー・融資・資産価値を全部まとめて考える必要があります。
ここを一つだけ切り取ってしまうと、判断を間違えやすくなります。
不動産投資は、「税金が安くなる」より「資産が残る」を考える
不動産投資を始める目的は、人によって違います。
- 毎月の家賃収入が欲しい
- 老後の収入源を作りたい
- 資産を次世代に残したい
- インフレへの備えをしたい
- 融資を活用して資産形成を進めたい
- 相続対策を考えたい
そして、その中の一つとして、「税務上のメリットを活用したい」という考え方があります。これは決して悪いことではありません。
ただ、私は、「節税できるから買う」のではなく、「買う価値のある物件だから買う。その上で税務上のメリットも活用する」という順番が大切だと思っています。
この順番を逆にしてしまうと、かなり危険です。
まとめ 損益通算は「不動産投資のメリットの一つ」として考える
不動産所得が赤字になった場合、一定の条件のもとで給与所得などの他の所得と損益通算できる仕組みがあります。 ただし、「赤字=全部節税できる」というわけではありません。
そして何より大切なのは、税務上の赤字と、実際のキャッシュフローは別物だということです。
不動産投資では、「税金がいくら安くなるか」だけを見るのではなく、
「この収益不動産は、10年後、20年後にどんな資産として残るのか?」
まで考えてほしいと思います。
私自身、銀行員時代に融資の現場を経験してきましたが、結局のところ、長く残る投資は「節税だけ」では説明できないんですよね。
良い物件を選び、適切な融資を受け、安定した賃貸経営を行い、将来の出口まで考える。
その上で、損益通算などの税務上の制度を正しく理解して活用する。
この順番が、これからの不動産投資・収益不動産ではめちゃくちゃ重要だと私は考えています。
そして次回は今回少し触れた、「不動産投資を始めるなら、年収はいくらがベストなのか?」について、税金だけではなく、融資をする銀行側の視点も交えながら、次回考えてみたいと思います。
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